当イベントは、盛況にて終了しております。開催に伴い、多くの方々にご協力とご参加いただきましたことに厚く御礼を申し上げます。尚、開催内容の詳細は、以下をご覧ください。
香りマーケティング協会理事長
田島幸信氏
田島氏は、初めに「我々、現代人の多くは、ソーシャルメディアなどデジタル社会が進むにつれて、便利になる反面、バーチャル化する日常に対するストレスを産み、疲れ始めている」と強調した。更に近年、五感全体に対するマーケティングが注目され始めていることを紹介し、その中でも嗅覚つまり『香り』は記憶に直接働きかける作用があり、今後、重要なマーケティング要素になってくることを語った。
次に、香りマーケティングの全体像について「現在、社会的インフラや衣食住等の様々な分野に“香り”の活用範囲があり、その市場規模は、アロマテラピーという分野だけでも7~800億円弱あり、年率で13%の伸びを見せている」と説明した。しかも、最近では男性の芳香製品の購入率が高まっているとのことで、特に中高年層の香水購買率が高くなっていると付け加えた。
続いて、香りをマーケティングに活用した国内外の歴史について紹介。その中でも、「1980年代にはアメリカの映画館でストーリーと登場人物の動きに合わせて、おならの臭いがするカードを観客に嗅がせるという試みがなされた」と語ると、会場は一様に驚いていた。
国内外の香りマーケティング最新事例については、「アメリカのノースカロライナ州にあるレストランの看板で、ステーキのイラストの下から黒胡椒などの香りが漂うようになっており、ウェスティンホテルでは、“ホワイトティー”というオリジナルの香りを作って、香りによるブランディングを行っている」と紹介。さらに今後の可能性については、世界中でデジタル技術が進んでいるにも関わらず、香りが出るテレビが登場しないことに触れながら、「通信デバイス等にのせられるように、香りのレシピを作り、香りを言語化することで実現の可能性もある」と語った。そして、最近では拡張現実(AR)との組み合わせや、医療分野で体臭からガン発生を知らせるためのセンシング技術、愛媛県上島町(弓削島)で始まった香りを使った村興しの取り組み『しまの大学』の可能性を探った。
そして、最後に「これからは、香り市場の成長に伴い、香りのコンサルティングが出来る人材とその育成が必要」であり、さらに「香りに関する様々なビジネスチャンスが生まれてくること」を強調しながら、今後、当協会では総合的に香りに関するマーケティング活動やビジネスの支援をしていくことを語り、講演を締めくくった。